早めの治療で、
歯の寿命を保ちましょう
虫歯は歯科の二大疾患と呼ばれています。歯を失う原因の第2位で、年々減少していますが、いまだに歯科医院を受診する理由の中でも大半を占めています。虫歯は一度なってしまうと自然に治ることはないため、治療が必要となります。治すには削って詰めたり被せたりしなければならないため、虫歯が大きければ大きいほど、歯へのダメージは大きく、削る量が多くなってしまいます。虫歯は早期に発見し、治療することで、寿命を延ばすことができます。
虫歯の原因
虫歯菌は多くの人の口の中に存在する常在菌ですが、虫歯になる人とならない人がいます。虫歯ができるのには4つの条件があり、これが重なると虫歯のリスクが高くなっていきます。逆に、これらの条件が重ならなければ虫歯になるリスクは抑えられるため、虫歯になりにくいといえます。その条件とは、次の4つです。
- 虫歯菌
- 糖分
- 歯質
- 時間
虫歯菌の数が多いほど、糖分の摂取頻度が高いほど、歯質が弱いほど、この3つの条件が重なる時間が長いほど、虫歯のリスクは高まります。当院では予防歯科を取り入れ、これらのリスクを軽減するための処置を行っています。
痛みに配慮した当院の治療
さまざまな工夫で
痛みの軽減に努めています
歯科医院が苦手な患者様の多くが「歯医者は痛いから嫌だ」とおっしゃいます。当院では治療時には麻酔を行い、治療中の痛みを軽減させるだけでなく、麻酔をするときにも表面麻酔を用いたり、長めに時間をとる、電動麻酔器を使用するなどの工夫をしています。
また、症例によっては視野を3.5倍程に拡大する拡大鏡を用いることで、精密な治療を行い、再発や虫歯の取り残しを防いでいます。
どうしても歯科治療が難しい方へ
~笑気吸入鎮静法~
患者様の中には、頭では理解しているけど、どうしても歯科治療が怖い、という方もいらっしゃいます。そのような方におすすめしているのが「笑気吸入鎮静法」です。これは笑気と呼ばれるガスの麻酔で、鼻から酸素と合わせたガスを吸っていただくことで、薬の力でリラックスでき、ぼんやりしている間に治療を行うというものです。笑気には痛みを和らげる効果もあるため、痛みを感じにくくなります。副作用が少なく、小さなお子様でも使用できるお薬のため、ご安心ください。
PROGRESS虫歯の進行と治療方法
虫歯は進行度合いによって症状や治療方法が変わってきます。ここでは虫歯の進行に伴ってどのような変化が起きるのかをご紹介します。
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脱灰
脱灰とは虫歯の前駆症状のようなものです。エナメル質からカルシウムが失われ、歯が濁ったような色になります。歯磨きができていない部分や、お口がポカンと開きやすい方の前歯等に表れることがあります。痛みやしみるといった症状はなく、経過観察になります。
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初期虫歯
エナメル質という歯の最表層のみが欠けてしまった虫歯です。進行は遅く、症状もないため、ほとんどが経過観察となります。欠けてしまった部分が尖っている場合は、磨いて丸めることが可能です。欠けた部分には汚れが溜まりやすく、虫歯が進行してしまうこともあるため、ブラッシング時に気を付けて磨くようにしましょう。
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中等度虫歯
エナメル質の下にある象牙質という層まで虫歯が及んだ状態です。冷たいものが染みる、歯ブラシで痛みがある、などの症状が出始めます。象牙質はやわらかく、虫歯の進行が早いため、早期に治療が必要です。治療方法としては、削って白いプラスチックを詰めるCR充填、虫歯を取って型取りを行う詰め物や被せ物による治療があります。
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重度虫歯
細菌の感染が象牙質を超えて歯髄(神経と血管の複合体)に達したものを歯髄炎といいます。歯髄炎になると、痛みは特に夜にひどくなるため、文字通り眠れないほど激烈な痛みを引き起こします。また、神経の処置がしてある歯の根の病気が再発したり、神経が何らかの原因で壊死してしまった場合には根の先に病巣ができることがあり、これを根尖性歯周炎といいます。根尖性歯周炎の場合、痛みを伴わないこともあるのですが、一度痛みが出ると炎症が長引き、改善に時間がかかることが多いため、早めに治療を行う必要があります。どちらの場合も、歯髄腔というもともと歯髄が入っていた空洞を清掃する根管治療が必要となります。
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残根
虫歯が長く放置されると歯の健康な部分よりも虫歯の部分の方が多くなってしまいます。虫歯によってもろくなってしまった歯は虫歯菌の巣になり全身に悪影響を与える可能性があるため、抜歯が必要になります。
虫歯の原因
詰めて治す方法
小さい虫歯はCR充填で治すことができます。これは、虫歯の部分を削り取り、その部分に白いプラスチックを詰める治療法です。噛む面にできた虫歯や、前歯の治療で適用となります。治療は1日で終わり、見た目にも変化が少ないのですが、材料がプラスチックのため、強度が弱く奥歯の歯と歯の間の治療などには適しません。また、色がつきやすい素材のため、数年でやり替えが必要になる可能性もあります。
詰め物・被せ物で治す方法
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詰め物
奥歯の歯と歯の間の虫歯などに適用となる治療法です。虫歯を取り除き、歯の形を整えて型取りをします。型取りした模型を元に、インレーという詰め物を作製し、後日噛み合わせを整えて装着します。治療のために型取りと装着の2回のご来院が必要で、インレーの作製には1週間程度お時間をいただいています。自由診療のセレック治療なら、条件が合えば当日中のセットが可能です。
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被せ物
歯全体を覆う被せ物を用いた治療法です。虫歯が広範囲に広がっている場合や、歯への負担が大きい場合、根の治療をした歯などが対象となります。虫歯を取り除き、歯の形を整えて型取りを行います。型取りの模型を元にクラウンという被せ物を作製し、後日噛み合わせを整えて装着となります。治療には2回のご来院が必要です。根の治療の場合は、根管充填(空洞の部分に防腐剤を詰める治療)後、土台の型取りを行い、土台のセット時に型取りとなります。自由診療のセレック治療の場合は条件が合えば当日中に治療を終わらせることが可能です。
ROOT CANAL TREATMENT重度の虫歯も抜かずに治す
~根管治療~
根管治療とは、もともと歯髄が入っていた歯髄腔と呼ばれる空洞をきれいに洗浄・消毒し、防腐剤を詰めて被せ物をすることで根の部分を再利用するための治療法です。「根の治療」とも呼ばれ、時間と回数がかかることが多いのですが、根管治療を行うことによって、神経が虫歯菌に感染してしまった歯でも抜かずに治すことができます。
※根管治療は一部自由診療になる場合もあります。
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虫歯の除去
まずは虫歯になっている部分をすべて取り除きます。虫歯を残すとそこから感染が広がってしまうため、丁寧に全て取り除く必要があります。
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根管形成
根管の内容物を全て取り除き、形を整えます。治療にはニッケルチタンという素材でできた針のようなファイルと呼ばれる器具を使用します。この金属には超弾性と呼ばれる性質があり、根の形が複雑でも虫歯を取り除くことができます。
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根管消毒
根の中を洗浄し、消毒を行います。消毒のために、根の中にお薬を詰めて、仮の蓋をして数日~数週間経過を見ることもあります。
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根管充填
根の中がきれいになり、消毒ができたら、防腐剤を充填します。当院ではCWC法(Continuous Wave Condensation Technique)と呼ばれる手法を採用しています。垂直加圧根充と呼ばれる治療法の1つで、根の形が複雑でも、空洞を残さずに防腐剤を詰めることができます。
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コアセット・印象
根管充填後は、土台を作ります。コアと呼ばれる土台をセットして、被せ物を作るための型取りを行います。
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クラウン装着
被せ物の噛み合わせを整えて装着します。元の歯と同じように食事していただくことができます。治療した歯は神経がなく、虫歯が再発しても気付きにくいため、定期的なメンテナンスをおすすめします。
治療を長持ちさせるための工夫
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マイクロスコープ
根の治療には、マイクロスコープという歯科専用の顕微鏡を使用します。視野を20倍に拡大することができるため、肉眼では見えない隠れた根管や細かい虫歯をしっかりと把握することができます。精度が向上し、再発の少ない治療が可能です。
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ラバーダム
ラバーダムはゴムのカバーです。お口の中には多種多様の細菌が大量に存在しており、その数は唾液1mlあたりおよそ1~10億と言われています。治療中に唾液が入ってしまうと、虫歯の再発リスクを高めます。ラバーダムによって口全体にカバーをかけ、治療する歯だけを露出させることによって、治療部位が唾液などで汚染されるのを防ぐことができるのです。